サンプルとして処理したい物をご準備いただきます。
本試験では、ポリプロピレン製のプラスチックダンボールおよびフレコンバッグの処理試験を行なっています。
処理前に投入物の重量を計量してから実験機に投入します。吊り測りにて、重量を計測し、記録します。
廃プラスチック熱分解油化炭化再生資源回収装置
再生資源回収処理装置「パイロリナジー」は、
過熱水蒸気を使用した熱分解装置で、プラスチックや合成繊維、
合成ゴムなどの石油化学由来の製品を、熱により分解し油および炭化残渣として
回収することを目的とした装置です。
回収された油や炭化残渣は、再生エネルギーとして使用することができ、
限られた資源を循環させ、持続的に利用することを可能にします。
機種名 | Pyro Renergy-1000 |
---|---|
処理能力 | 350kg/バッチ(比重0.35) |
内容積 | 1,200ℓ |
サイズ(m) | W:7.5×D:2.4×H:3.1 ※オフガスタンク円筒は除く |
熱分解温度 | MAX600℃ |
使用燃料 | 灯油 |
燃料消費量 | 50ℓ/バッチ |
蒸気量 | 160kg/h |
油貯蔵タンク容量 | 700ℓ |
安全機構 | 耐圧設計・耐腐食設計 |
120℃程度の飽和水蒸気をさらに過熱し、600℃の高温無酸素の水蒸気空間を
分解炉内に射出します。
そして高温H2Oガスの生成により油脂分を蒸留気化させます。
この気化ガスを冷却用コンデンサーで液化させます。
この時、冷却用コンデンサーにて液化しない気化ガス(オフガス)は、
全てオフガスタンクに貯留され、圧力制御により順次反応炉保温用熱源として再利用されます。
液化した油は、油水混合状態となるため、比重による油水分離で油分と水分に分離させ、
ろ過水槽で不純物を除去し再生資源油を取り出します。
水を沸騰させ100℃になると水蒸気に変化します。この時、水蒸気の温度は100℃ですが、さらにその分子を過剰昇温することで、水蒸気の温度は100℃を超えた無色透明の高エネルギー水蒸気(過熱水蒸気)になります。この過熱水蒸気には、幅射伝熱、対流伝熱、凝縮伝熱という特徴が加味され、対流・放射の複合伝熱パワーと正確な制御性を保持する事になります。
ダイオキシン類は、廃棄物の焼却の他に製鋼用電気炉、タバコの煙、自動車の排ガスなど様々な 発生源から非意図的に生成されます。上記から、主としてものが「燃焼される」ことで発生することがわかります。燃焼とは、光や熱の発生を伴う「酸化反応」のことですが、パイロリナジーでの熱分解処理は、反応炉内を水蒸気で満たされた「無酸素状態」であるため、酸化反応が起こることができず燃焼が一切起こりません。よって、ダイオキシン類はパイロリナジーでの熱分解処理において発生する心配は無いと言えます。反応終了後に、回収される固形残渣が酸素と触れた際、燃焼が起こりダイオキシン類が発生する可能性が想定できますが、窒素を利用した不活性ガスパージにより、反応炉開扉時の燃焼を未然に防止します。
脱硝は、アンモニア接触還元法にて処理。この時、塩酸ガスもアンモニアにより中和され、無害な塩化アンモニウムとして回収。脱硫は、小規模プラントに適した水酸化マグネシウム法にて処理を行います。
エマルジョンセパレーター等の利用による油水分離ののち、通常排水。
●上記、排ガス・排水環境対策設備は、オプションで設置可能です。(大気汚染防止法は総量規制なため、小型設備では対策機器等が不要となります。)
投入物と再生燃料の関係については、投入物の分子状態によって熱分解反応形態が支配され、油化・炭化・ガス化率等の違いが生じます。これにより再生燃料の性状が決まるため、投入物の材質ごとにそれぞれの分子構造毎の反応性の把握が必要となります。この前提条件の上で、パイロリナジーは過去の実験結果より、油化率最大99.3%、および炭化減容率最大99.6%の性能が確認できております。
成分名 | 成分比率 | 1日の抽出量 | 資源再生の方法 |
---|---|---|---|
液化再生油分 (灯油・ナフサ相当) |
99.3% | 834.12ℓ | 蒸気ボイラー・過熱蒸気発生装置・ 反応炉保温用バーナーの 熱源として自機利用。 |
オフガス | 0.3% | 4.86ℓ | 反応炉保温用熱源として自機利用。 |
炭化物 | 0.4% | 4.2kg | 炭素含有量99.9%程度の純炭化物。 再生剤として再利用。 |
※投入物の成分比率が同じなら、同等の抽出比率が確保できます。
パイロリナジーでは、配管の閉塞を発生させることから、油化は不適とされるPET(ポリエチレンテレフタラート)の処理も独自の蒸気コントロール技術にて処理が可能です。閉塞を生んでいる要因を考察し、化学的・工学的アプローチから対策を行うことで実現いたしました。その他、窒素を含むナイロン、さらには焼却ができない為処理が困難とされている塩化ビニールの処理も可能です。廃棄物の処理を行うにあたって最も重要な、『処理可能品目の多さ』を有します。
パイロリナジーでは、爆発物と放射性物質の処理は不可となります。
ポリプロピレンに関しては、密度および発熱量の数値から、高品質ナフサが回収できていることが分かる。廃プラスチックは、材質の分子状態によって熱分解反応形態が支配されるため、油化、炭化、ガス化、それぞれの発生率は材質の性質によって異なります。これにより再生燃料の性状が決まるため、投入物の材質ごとにそれぞれの分子構造毎の反応性の把握が必要となります。
性状 | 単位 | 種類 | ||
---|---|---|---|---|
軽質ナフサ | 重質ナフサ | ホールレンジ ナフサ |
||
密度 | g/c㎡(15℃) | 0.65〜0.70 | 0.70〜0.76 | 0.65〜0.76 |
分留範囲 | ℃ | 30〜140 | 40〜230 | 30〜230 |
硫黄分 | mass% | 0.001〜0.05 | 0.001〜0.05 | 0.001〜0.05 |
総発熱量 | MJ/kg | 50.25 | − | − |
− | MJ/ℓ | 33.31 | − | − |
ポリプロピレンの熱分解処理より回収した油分の性状分析結果について、ポリプロピレン熱分解油の分析報告書を参照ください。性状分析結果から、ポリプロピレンの熱分解からはナフサ相当の再生油分が抽出可能であることがわかります。
※外部の専門分析機関での性状分析となります。回収物の品質のご確認、有用性のご判断にご活用いただけます。
HDPE・LDPE・PP・PS・PVC。「5大汎用樹脂」と呼ばれるこれらの樹脂の中でも、PVC(ポリ塩化ビニル)は耐水性や電気絶縁性に優れ、建築材料や農業材料など用途は多岐にわたります。しかし、廃棄の方法は非常に困難で、単純な焼却では、有害ガスの発生や設備が塩化ビニルに含まれる「塩素」により腐食するため、サーマルリサイクル(焼却による熱回収)ができない状況です。(現在の処理方法は、主に埋め立てで、一部マテリアルリサイクルがされております。)そこで、熱分解による油化(ケミカルリサイクル)での再生資源回収が期待されますが、回収再生油に塩素が残留するという課題から、再生油の品質・有用性が大きく損なわれています。こうしたことから、『再生油中からの脱塩素技術』がPVCの再生利用のため大変求められており、当社は現在、独自の方法にて当技術の開発を行なっております。現在開発中の『軽油中からの脱塩素技術』の内容は多種多様なので、脱塩素率等の具体的情報に関しては個別にご相談ください。
❶ 熱分解可否の確認
❷ 物質収支(油化率・炭化率・オフガス発生率)
❸ 物理的変容の確認
❹ ユーティリティー使用量の確認
❺ 運転プログラム案・運転効率の確認
試験にて回収された再生油サンプル(回収時刻ごとに分類)
サンプルとして処理したい物をご準備いただきます。
本試験では、ポリプロピレン製のプラスチックダンボールおよびフレコンバッグの処理試験を行なっています。
処理前に投入物の重量を計量してから実験機に投入します。吊り測りにて、重量を計測し、記録します。
計量・記録ののち、装置へと投入致します。
本試験では、専用のカゴを使用しておりますが、フレコンのような袋に入った状態、またはバラ積みの状態での投入も可能です。
処理物の内容によってご提案差し上げます。
投入が完了すれば、過熱蒸気による処理を開始いたします。
処理を開始すれば、温度推移、並びに経過時間の記録を行い、処理物ごとの操業プランを確認いたします。
熱分解が開始すると、サンプル弁より再生油の回収が可能となるので、専用の容器へと再生油の回収を行います。
サンプル弁より再生油の排出がなくなれば、熱分解の終了を意味しますので、加熱を終了し、冷却・取り出しへと移行いたします。
カゴいっぱいに入っていたポリプロピレン処理物が、綺麗に分解されなくなっていることがご確認いただけます。
パイロリナジーに関するお問い合わせ・ご注文は、下記電話番号かお問い合わせフォームにて承っております。
有限会社古谷商店 みらいコネクト